新聞やニュースを見ると毎月必ず取り上げられる数値がある。
それは、『有効求人倍率』である・・・。
もちろんGDPやらなんやら様々な数値をニュースでやるが、いかんせん有効求人倍率はあたかもハッピーなニュースであるかのようにメディアは取り上げる。
しかし、私はこの数値がとてつもなく嫌いである。
そもそも『有効求人倍率』とは何かというと、求職者1人に対して何件の求人があるかを示すものである。
厚生労働省が発表した最新の有効求人倍率は1.4倍で25年2ヶ月ぶりの高水準らしいが、そんなことをいわれても、今仕事を求めている人が25年前と同じくらいとかいわれたところでピンと来ることは無いだろうし、何よりも1.4倍という数字の中身も全く違うものだろう。
1.4倍というのは全国平均のものだが、都道府県別に見ると当然のごとく東京が高いがその分低い地方都市も存在する。
私の住んでいる北海道も悲惨なものである。
しかも、この1.4倍という数値は正社員だけではなく、パートなどの非正規も含めた数値なのである。
これを正社員だけの有効求人倍率にすれば、全国平均で0.9倍未満と1.0倍にも届いてない。沖縄に限っては0.5倍未満という状況だ。
もちろん安倍晋三首相がドヤ顔でおっしゃるとおり、有効求人倍率は第2次安倍内閣が発足して以降右肩上がりだ。しかし、元々がどん底のような状態だったのと、少子高齢化で働き手が減少傾向にあるのだから、誰が首相になったとしても勝手に改善はされたように思える。
じゃあ、求職者側は雇用に関して改善されたと思っているのかといえば、全くもってそんなことは無い。
- ①非正規雇用ばかりで正規雇用はあまり無い。
- ②正規雇用の求人は介護や飲食、小売、観光等のサービス業で雇用条件が劣悪。
- ③上記以外の正規雇用は要経験や要資格ばかりで応募できるのは一握り。
- ④残りはブラックや零細企業でハローワークの窓口ですらオススメされない。
- ⑤空求人。
こういったものが1.4倍という数値の中身の現状だろう。
このような状況の有効求人倍率を発表されても私は「なに言ってんだコイツら・・・」ぐらいにしか思っていない。
なので厚生労働省にはこの際、深夜のコンビニバイト程度にしか稼げない仕事や離職率の高い求人はブラックと認定したり、一定期間応募が無い求人は削除するなどの基準をつくり、今発表している有効求人倍率を『理論的求人倍率』に名称を変更して、そこから上記のうち③以外のものを『無効求人倍率』とし、『理論的求人倍率』-『無効求人倍率』=『有効求人倍率』として各数値を毎月発表してもらいたい。
現状は求職者の数に対して求人の数は上回っているが、どうせマトモな仕事が無いと諦めて求職せず、非正規雇用や名ばかり正社員といった現状に甘んじている人も多いのではないかと思う。私もその中の一人である・・・。
そういった人達全員が求職状態になってしまえば、有効求人倍率や失業者数などの数値は手の平を返したかのように悪化するだろう。それなのに国やメディアは景気が良くなっているかのように振る舞っていることに嫌気がさす。
『有効求人倍率』そんなものは、ほとんどが無効なのである。
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